Buchdetails
Beschreibung
●青空文庫にない「犬神博士」「氷の涯」「童貞」を収録
本書では 日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる『ドグラ・マグラ』は当然のことして、現時点で青空文庫に収録されていない「犬神博士」「氷の涯」「童貞」もテキスト化して掲載しました。
「犬神博士」は『福岡日々新聞』に連載された長編です。犬神博士が幼少の頃、旅芸人としてさすらって筑豊の石炭を巡る利権闘争に巻き込まれていくというものです。夢野久作の父杉山茂丸や頭山満の壮年期時代の福岡を背景に描かれたものですが、途中で打ち切られた作品です。第11巻の「挿絵と闘った話」に少し触れられています。
「氷の涯」は大正九年の哈爾賓《ハルピン》を舞台にしたエキゾチックなストーリーです。哈爾賓は明治四二年に伊藤博文が暗殺された場所ですが、緯度でいうと北海道の最北端あたりになります。哈爾賓から松花江伝いにハバロフスクを経てウラジオストックまでの逃避行が語られます。ロシア革命直後の中国東北部の様子がありありと活写される名作です。
「童貞」は全てを犠牲にして天才ピアニストとして名声を得た一人の青年が、死の病にかかり、死の間際に病院を抜け出して町を彷徨い、艶かしい美少女に出会い心をときめかせる話です。しかしその美少女の正体は…。
いずれも夢野久作ファンであれば必ず目を通しておきたい作品です。